先日のアジアカップ、日本代表の開幕戦
4-2でベトナムに勝ちましたが、今2失点目を喫したGK鈴木彩艶選手のプレーがSNS上で沸いているみたいで
GK出身としての私の見解を述べたいと思います。
あのプレーについて本人は
「ボールがそこまで強くなかったけど、バウンドして難しいシーンだった。(詰めてくる)相手も見えていたので、しっかりと弾ききって外に出そうと思った」
「けど、上手く外に弾ききれずに失点してしまったので、そこは反省しなければいけない」
と、述べています。
あのシーンを振り返りながら解説すると
あのシーンはプレー中に相手の位置をよく見ていなかった。
「スキャン」できておらずに相手の詰めている真っ正面にボールを弾いてしまっていると言うことは
明らかに「完全なるGKのミス」ということ。
そして、そのゴールが
「主要大会の開幕戦での逆転ゴール」だったということが重要。
普通なら負け試合です。
アジアカップという今年最重要な大会の開幕戦で
GKがあのミスによって失点する
そして、それが「逆転ゴール」となったことは謙虚に受け止めなければいけない。
これがW杯、CLだったら・・・
技術的に言えば
あのボールは強いボールではなかったので、あの場面は「キャッチ」に行くべきだったと思う。
しかし、アジアカップの開幕戦で
浦和でもレギュラーを掴むことができないまま
より経験を積むために海外へ渡ったという経緯から
「経験不足」が招いた「消極的すぎるプレー」です。
「ミスができない」
「失点したくない」
「より安全に」
プレーしたかったということはメンタリティにおいてもスコアや状況に置いても十分に分かります。
でも、あれは「ボールが強くなかった」
必ず相手はファーサイドへ詰めてくることは重々理解していたと思うので、あの場面は「キャッチ」が一番安全だった。
グラッソのGK達にも伝えているし
フィールドプレーヤにも伝えていますが
2つのフレーズが「基礎・基本」として出てきました。
「キャッチ」と「ファーサイドへの詰め」
キャッチはGKが1番こだわらなければいけないことです。
それはえみり、こうた、かずのすけに口酸っぱく伝えていることです。
キャッチをする、できることが
どれだけチームに安心感をもたらすのかということです。
ましてや、難しいシュート・ボールをキャッチできたら
GKレベルとして高く評価されることでしょう。
「難しいシュート・ボールを簡単にキャッチ」しているんですから。
チームメイトへの安心感はもちろん、相手に与える脅威も全然違います。
キャッチできたらそのプレーは切れて「マイボール」になるわけですから。
現に、あのプレーはボールに関わっている味方の4人はGKがキャッチしてくれると思っていたと思いますし
詰めてくる相手への対応をする必要がなかった状況だったと思うし、動きを見ていてもそうだったと思います。
フィールドプレーヤーにも「ボールの奪い合い」を要求したり、トレーニングしているんだから
GKもそこの部分を求めていかないと世界では勝てません。
フィールドプレーヤーでは今沢山の選手達が海外で活躍していますが
GKはまだまだできていません。
W杯で優勝したい
もっと落とし込めば
育成年代はもちろん、高校年代、大学年代以降
全てのカテゴリーで優勝したいのであれば、GKのポジションは「超」重要です。
安全に行きすぎたが為に起こったミス。
全てにおいて~すぎるのはよくありません。
食べ過ぎる
飲み過ぎる
無理しすぎるなどなど
良いことはありません。
天秤で考えたら
重すぎても、軽すぎても
バランスは保てません。
技術もそう、スキルもそう、メンタルもそう、考え方もそう
バランスが保てなければ良いプレーはできません。
ミスが高確率で起こります。
下手したら壊れます。
GKのミスによって逆転されたことに関しては「ゲームを壊す」ことに繋がっています。
私も試合中にその現象が起こったら、選手達に言います。
「試合を壊す気ですか?」と。
壊れたら、立て直すのに相当な時間と労力がかかります。
試合も一緒です。
壊したら立て直すのに大変ですし
立て直せないまま試合が終わることがほとんどです。
GKは1つのミスで試合の勝敗を大きく左右する重要なポジションです。
だからこそ、より多くの経験を積んでいかないといけません。
チャレンジしないと成長しません。
まだまだこれからの選手ですし、沢山経験を積んで
日本代表のGKとして君臨してきた川口能活さん、楢崎正剛さん、川島永嗣さんのように
主要大会をきっかけに大きく成長して
日本代表のゴールを長年守るということが彼には期待されているし
そんな状況だと言うことは森保監督はじめ、チームメイトは重々承知のはずです。
それを理解していて出場させているはずです。
腹をくくっているんだと思います。
重要な試合でスタメンで使ってもらえると言うことの「意味」を理解してこれからビビらずにチャレンジしてほしいと思います。
最後にもう1つのフレーズ
「ファーサイドへ詰める」
これはチーム戦術の基礎・基本です。
シュートはファーサイドへ
そして、ファーサイドへ詰める
これはサッカーにおいての基本ですし
グラッソの練習でも多く言ってきていることです。
どのカテゴリーでも、これは基礎・基本です。
勝つ為の、得点するための術です。
ベトナムの1点目のように
「相手より先にボールに触ること」
と同様に、基礎・基本がしっかりできていれば
強豪相手でも得点が奪えると言うことをベトナム代表は教えてくれたと思います。
今の日本代表の礎
大きく羽ばたくきっかけと結果をもたらし
日本代表に多くを与えてくれたトルシエ監督は相手にしてもさすがでした。
アジアカップ
日本の力を示す時です。
今、日本サッカーは世界から多くの注目を受けています。
その注目、期待に応えて
日本がサッカーによってさらに生きる活力となり
盛り上がり、震災によって被災された方々に勇気と元気を与えてくれることを期待しています。