W杯の日本代表はベスト16で幕を閉じました。
クロアチアとの試合はまさに「死闘」でした。
クロアチアは前回大会準優勝国
グループリーグでもベルギーを予選敗退にさせての決勝トーナメント進出
日本も「超」強豪国のドイツとスペインを破っての決勝トーナメント
どちらも「疲弊」していたことはゲーム内容を見ても明らかでした。
どちらもボールロストが多く、中々ボールが収まらずに上下運動が激しく
1番疲弊する試合内容で
しかし、お互いに120分間、高い強度とインテンシティを持って戦ってくれました。
結果はまたもやベスト8の壁を破ることは出来ず。
でも、選手達は
サッカー人生の全てを懸けて
日本のために戦ってくれました。
「超」強豪国のドイツとスペインに勝ち、前回大会準優勝国のクロアチアを敗退寸前まで追い込んだんです。
間違いなく、W杯終了後の日本の立ち位置
日本の価値
日本の世界的な存在感が高くなり
一目置かれる立場になることは必然です。
強豪国の仲間入りをすることになるでしょう。
もう、弱小国ではない。
中堅国でもない。
世界のトップ10入りも手が届く立ち位置になったことは間違いない事実でしょう。
だが、振り返りをしたときに
まだまだやらなければいけないこと
選手としてもチームとしてももっと成長し
熟成度を高め
堂々と世界に渡り合う技術・スキル・フィジカル・メンタル・戦術理解力を身につけていかなければいけないと思う。
後は、世界的なスーパースターが出てこないことには
日本のW杯優勝には手が届かないんではないかとも思う。
そして、何より
目標を達成できなかったのは
今いる監督・メンバーだけの責任ではないという事。
試合終了後に冨安選手が言っていたこと。
「日本のサッカー界だけではなく、日本人の育ってきた環境であったり、子供の時からの環境だったり、日本って言う環境自体も関係しているのかもしれないですけど、そこの勝負強さだったりって言うのは日頃その競争社会で生きてきている人たちと、より皆で一緒にやっていこうって言う(日本の環境や教育)、そういうその【根】の部分って言うものももしかしたら関係しているのかもしれないですけど、そういうのも差し引いても勝たないといけなかったですし、そういう世界というか、【残酷な世界】でもあるんで、今回の負けはやるせないというか、苛立ちさえ覚える感情ですね」
これは、冨安選手が言っていた以前に
グラッソFCとして取り組んでいたこと。
選手が甘えてはいけない
親が甘やかしてはいけない。甘えてもいけない。
世界でトップクラスの選手やチーム
W杯で生き残っている選手達は
「超」競争社会のサッカーの世界で生き残っていて
幼少時代・少年時代に「超」過酷な家庭環境や自分を取り巻く状況でも
「超」努力してきている選手達の「集団」であること。
それは、冨安選手が「世界」を見て、聞いて、感じて
圧倒的に日本の子供達と世界の子供達の「差」がありますよと言いたかったのだろう。
日本は何でも与えられ
子供が要求したことは親が与える「甘やかす」環境
世界はそうはいかない。
与えられるものは限られ
下手すれば、何も与えられない。
サッカーシューズやボールなんて買うお金がない。
裸足で
段ボールや新聞紙、どんなものでも「サッカーボール」になれば自分たちで工夫して作って
サッカーコートをストリートで、
砂場で
砂利道で作ってサッカーを皆でする。
毎日を生きていくことで精一杯の環境で生きてきた選手達ばかり。
私も4月にイスカルカップでスペインに行った時、最終日の宿舎のロビーで
ウクライナから避難してきた母と娘が電話しながら泣いて落胆していた姿を自分の目で見た。
恐らく、お父さんが戦死したであろうことは容易に想像できましたし、後で聞いたらやはりそうでした。。。
でも、残された彼女らは残された側として生き抜かなければいけない。
復興していかなければいけない。
お父さんのためにも。
その子達も広場でサッカーをして楽しんで
現実から少し離れて
夢中になれるサッカーを通じて一時のエンジョイをその環境下でもしていた。
だから、「メンタリティー」「ハングリー精神」が日本の子供達と「雲泥の差」なんです。
ブラジルの選手達や
アフリカの選手達
世界の多くの選手達は幼少・少年時代に「超」過酷な経験をしてきている。
今のウクライナもそう。
絶対に買えないスパイクやウエアを
アフリカの選手はチームメイトから貰って
泣いて喜んだんです。
今で言えば、チェルシーのエンゴロ・カンテが有名な話。
彼の少年時代は、そこら中のゴミを集めて
両手いっぱいに持った重たいゴミを掴み・抱えて
5~6キロ先の収集所まで持って行き
そこから得たお金で1日の生活費に充てていた。
1日でもサボったらご飯が食べれないんです。
往復10キロです。
毎日です。
それをしてから、好きなサッカーをして
自分でトレーニングして
自分を高めることを毎日やり続けたんです。
足が痛いなんて言ってられないんです。
日本ならすぐ足が痛いと言って親が病院に連れて行って
打撲だから、捻挫だから、安静にしてと医者に言われ
言われた通りのことをする。
お金がなかったらそもそも病院に行けないんです。
行きたくてもお金がないんです。
だから、足が痛くても
サッカーをやらない理由にしない。
往復10キロ歩いてからのトレーニングですから
そこからトレーニングしたら1日の運動量は20キロ~30キロ動いたという計算になるのが必然。
そんだけ動いたら足が痛くなるでしょう。
ジンジンしてくるでしょう。
そんな「超」過酷な状況下でも家でやるべきことをやって、
生活でもサッカーでも努力し続けて
必然と自己能力が上がり
街で噂になり
クラブにスカウトされ
そこから今や週給数千万円の「世界的スター選手」へと自分を押し上げ
プレミアリーグを制覇し
ヨーロッパチャンピオンズリーグを制覇し
W杯で優勝したんです。
その環境で育っているから
「マインド」が出来ているんです。
「人間形成」が作れているんです。
「世界で勝つため」のマインドが。
「愛される選手」のマインドが。
今でも沢山のお金を貰っても、彼は良いものを買わない。
車はボコボコで質の悪い車を乗っているし
服はブランドものではない、数千円の服。
そうなっても「謙虚」に自分を律している。
それが「世界」なんです。
冨安選手の言っていたことは本当に貴重。
根本を提起してくれたのが印象的です。
そこにフォーカスしていないのも日本のダメなところ。
「よく頑張った」
「お疲れ様」
そんなんで選手達は救われない。
本気でW杯を獲りたいんです。
スペインもベスト16で敗退しましたけど
そんなこと誰1人言っていない。
内容や結果で評価されるのが「サッカーの世界」なんです。
その結果に行き着くまでの「プロセス」が「超」重要なんです。
最近、中2の選手に
昨日は中1の選手にかなりの説教をしました。
サッカーをなめていると。
口だけ世界のスーパースター的なことを言ったり勘違いしていることだったり
実際の「現実」とめちゃくちゃ乖離している。
そんなんでサッカーをしても得るものは何もない。
時間・労力・お金など失うものばかり。
そして、その選手達に共通していること
親が甘い
自分から逃げる
グラッソはサッカークラブです。
サッカーのことだけ教えていれば良いのがサッカークラブです。
しかし、グラッソは違います。
日頃の取り組み方
明確な目標、目的地の設定
意識をどう持って行くか
サッカーだけではない、学校生活や私生活
人間関係のこと、進路のこと、将来のこと
選手達だけではなく、親にも教育しています。
普通のクラブチームではそんなことしません。
間違いなく言えることは
「学校の先生以上に学校の先生のことをしている」と。
学校の先生が、親が言わなきゃいけないことを私やコーチ達が言っている。
それって相当な労力と時間を使うんです。
しかし、学校の先生は何も言わない。
親も言わない。
別に高いところに目標を置いていないのであれば、私は何も言わないし、言う必要がない。
言っても自分が損するだけ。
そもそも、そんな選手・そんな人がグラッソに居てはいけないし、居させない。
違うチームに行けば良いだけだし、サッカーだけが世界ではないから。
しかし、本気でその子の目指すべきところがサッカーでもサッカー以外でも高いところに置いているのであれば
私は言いたいことを言わせてもらいます。
腹を割って話をするんです。
じゃないと本気が見えないし、心を開かない。
私はいつもオープンです。
「来る者拒まず、去る者追わず」なので。
選手としての価値を上げること
これが私の「大きな仕事」です。
いつも言っていますが、チームを強くすることが大きな仕事ではない。
その対価としてお月謝をいただいているんです。
選手の価値を上げることが「クラブの価値」になるんです。
選手とクラブの価値が上がるから
指導者としての価値も上がる。
これがサイクルですし、グラッソFCのコンセプトです。
自分たちが生きている世界
サッカーの世界
社会生活は「競争社会」です。
そこをまずは選手達も親も認知し、理解しなければいけない。
怪我をしたり、練習を休んだり、競争することをやめたりすれば、その選手が座っていた「席」は必然的に空きます。
その「空いた席」を奪い合うのが「競争社会」です。
下手をすれば、自分が座っている席に強引に吹っ飛ばしてでも奪いに来ることだってある。
だから、油断できないし、自分の「力」を日々、つけていかなければいけない。
それが「競争社会」
そして、この日、このタイミングで
皆が1番ほしいタイトル、カップ、セレクションを獲りたいのであれば
それそれなりのこと「以上」のことをしてください。
他より上回らないと奪えないから。
高いレベル・トップレベルの世界は
ごまかしや甘えは許されません。
W杯でそれを教えてくれたはずです。
それを認知して
「自分がW杯を獲るんだ」「バロンドールを獲るんだ」という「世界一になりたい」想いを子供の時から強く強く思って、それを「行動」で表現する選手が
最終的には競争に打ち勝つのではないでしょうか。